ここ最近読んだ中で、ものすごく心に刺さった本の感想を。
どこにでもいる専業主婦がある日、裁判員に選ばれて…。そんなことからストーリーが展開し、家庭の中の会話や夫婦、家族の人間模様を丹念に描いた小説です。
「そんなことも知らないの?」
「それって常識でしょう」
そういう会話が相手を傷つけて自信を失くさせて、だれかの人生を狂わすという話がずっと心に残りました。
私もそんな意図は全くなくて、そういう会話を夫としたことがあり、夫には随分と怒られたものです。
次に会ったら、謝らないといけないと反省をしました。
同時に、夫からも同じように言われて無力感に襲われたり夫を怖く思ったこともあり、私たちは傷つけ合っていたんだろうなと気がつきました。
親子の間においてもこういう言葉は気をつけないといけないし、親切で言ったつもりの提案、アドバイス、言葉が相手をさらに追い詰めたり、もう二度と、誰とも関わりたくないと思わせることもあり、それはいまの仕事で誰かの相談に乗る時にももちろんで。
反応、表情、言葉一つで誰かの心を殺すことも生かすこともできる。それがコミュニケーションだし、コミュニケーション能力が高いとか低いとか言いますが、本当に高い人はそう多くないのだろうと思います。
でも、そういうことに敏感でありたいと思ったし、自分はどうか、これで良かったのか、と省みることが大切だなとつくづく思いました。
現実社会では子供への虐待や虐待なのかとビクビクしながら子育てしてる人はたくさんいると思います。
小説の中に出てくる、あんなシーン、こんなシーン(子供が泣いていても無視して家事を続ける、泣き止まない赤ちゃんにイライラを募らせる)は自分にも日常的に思い当たることばかりで、胸につまされました。
自分の行為は子供の心を傷つけたり、悲しませたりしているのだろうと思うことも、一度ならずあり、ダメなお母さんだなと嫌になります。
嫌になるけども、悩み込まずにいられるのは、なぜだろう。
こんな出来損ないの母でも、娘のことも息子のことも可愛くて大好きで、それだけは妊娠してから一度も変わらないからかな、それ以外の理由があるのかな、と考えてつつわからないままです。
何もかもわからなくても、子どもを大事に思い続けて悪いことをしたら謝って子どもと向き合う中にしか、答えがないような気もしています。