女性活躍のあり方を転換させた資生堂のジレンマ
日経新聞のWeb版に興味深い記事が出ていました。
資生堂といえば女性にやさしい企業としても右に出る者がないほど有名ですが、最近やや方向転換をしたようです。
17時になると時短勤務の社員が一斉に帰宅路へ。アフター5、6が柿入れ時のセールスの現場からしたら、日々の業務に支障をきたすレベルで困ったことだと思います。
想像するに、子育ての終わった40-50代の方を配置しても、仕事終わりに会に来る20-30代の女性たちとは世代的にもややギャップがあって美容の相談をするにはいいですが「ちょっと見てるだけ」とか「なんとなく」来た人には、敷居を高く感じさせてしまいそうです。
素人なので感覚ですが、同世代の人の方がとっつきやすいというのはありそう。
今回の話の本筋とは離れてしまいましたが、今回、「女性にやさしい会社」から「働きがいのある会社」へ方向転換した資生堂の本音としては、
「時短使って働く(くせに)のに権利行使が既得権益だと勘違いしている人がいるようだ(プンプン)」
ということにありそうです。
まあ、こういう人ってどの世界にも一定数いると思います。
休んで何が悪いの?とか子供が小さいんだからしょうがないでしょ!とか。
休むことも病気になる事も仕方ないけど、仕事の穴はどうやって誰が埋めるのか日ごろ考えているとかリスクヘッジで何して来た?とか聞かれると答えられないようなケースは、どうしても発生しそうです。
資生堂では管理職への登用にチャレンジするようすすめられるようです。
人によっては別に昇進するつもりない、したくない人もいると思うし。おそらく以下の点が難しいところですね。
時短勤務制度を使う社員がみな悪いわけじゃない、周りに配慮したりコミュニケーションとれてないわけじゃない。
女性社員がみな管理職になりたいわけじゃない。
一人一人の環境もモチベーションも異なる中で、資生堂としてもどっちに舵をきるかという時に今の方向へと結論を出したのでしょう。
これを読んで真っ先に姉を思い出しました。
姉はある総合病院の看護師をしていますが、専門卒後すぐそこに就職したのでもう17年とか働いていて、かなり長いほうだと思います。
今年から主任になったのですが、これが大変なのなんのって!!!
同じチームに産休の人、育休明けの人、子供が小さい人がいて皆さんだれも遅番ができない上に15時とか16時上がり。
必然的に負担はほかのメンバーに来るのですが、6人のチームで産休の人はいないから実質5人。その中で事情のある人2人をのぞくと3人しかいなくて、週に6日の勤務をまわすので3人が週2回は遅番をやらなくてはいけない計算。
遅番にも2種類あって早めの遅番と遅い遅番があります。
遅い遅番は床の吹き上げから翌朝の準備まで全部完了させるので、日によっては22時とかまで働いています。
今、姉の子どもは11歳と10歳と5歳なので3人で留守番していますが、だんなさんも負けず劣らず忙しいし休みの日も月何日あるかな?という人です。
そんな状況を見ていると、資生堂の美容部員の現場が抱えるジレンマが少しわかる気がしました。
姉の病院でも「働きやすさ」「女性も活躍」にかなり力を入れているようです。
というのも、姉の妊娠、出産の頃など嫌味の一つや二つや三つや四つ言われて辞める人もけっこういたからです。今は看護師確保も大変な時代。
で、子育てママに優しいのですが、姉のように職歴が長かったり上の子が小学生だと(3人目まだ保育園生だけど!)夜勤のできる病棟を勧めて来たり、こっちを立ててあっちを倒すみたいな人事をしています。
資生堂のように女性をバックアップして来た会社も、病院のように看護師がいないと成り立たないような現場で女性が多くても、これだけ試行錯誤するのだから、まして男性社会で成り立ってきた一般企業でスムーズな女性の活躍というのは、もう少し時間がかかりそうですね。