先日、読書感想文を書いてから読んだ本を紹介します。忘れないうちの備忘録。そして本当にオススメ。
外国に行きたいなぁ。
壺井栄著
「母のない子と子のない母と」小学館文庫
今、生きていたら78歳くらいかなぁ。一郎は埼玉の熊谷に住んでいましたが、戦争で行方知れずの父親を待ちきれず、病身の母親と「ちろちゃん」(四郎という弟)と小豆島へ行きました。小豆島はお父さんのいとこが住んでいてそれを頼りに移り住んだのです。
主人公のおとらおばさんは村の人気者。そのおとらさんが一郎のおばさんです。
小豆島へ移ってまもなく母親が死んでしまい、物語の中心は、おとらおばさんがチロちゃんと一郎を引き取り、生活しているあたりです。
戦争で家族を失い、仕事を失い、家を失い、その中で人々が肩寄せ合い、喜びを拾い上げ、時々寂しさや悲しみに涙しながら「生きていく」ということが描かれていました。
私にとってこの本は非常に興味深いものでした。というのも、私と戦争の出会いが壺井栄さんの「24の瞳」だからです。私が小学校一年生の時にこの映画を見ました。
同い年の子どもが主人公で切なくて号泣。この本も同じように小豆島の子どもたちが主人公です。
小豆島ののどかな様子がまぶたに浮かぶような場面の端々に戦争の影が落とされていて、かえって戦争というものの破壊性を思わされます。
娘が8歳になったら読ませたいと思いました。こういう本は、小さすぎてもダメで同い年の子が出てくることでぐっと身近に感じることがありそうだと思いました。
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髙村薫著
「四の組みがいた。」文藝春秋
なんともゆる〜〜いモードで始まります。もう、気だるくって気だるくって。まるで授乳中の昼下がりです。
元村役場に集まる元郵便局長や元村長など四人の老人が主人公です。
ゆるく始まった割にはけっこういろんな珍事が起きて口八丁、手八丁でこの老人たちが暗躍します。
四人のキャラ立ちもすごい良いし、「こんなことが!」と思うありえないエピソードも、四人の会話の中で生き生きと動いていくのに引き込まれました。
髙村薫さんて、朝日新聞に時々寄稿するものを読んでいたので小説を読みたいと思っていましたが、思ったよりもポップな印象でした。あ、ほかにも読んだことがありましたが、そちらもポップな印象です。
それにしても、小説家の構成力には脱帽です。
小説家って今更ながら素敵な仕事だなと思いました。私は読者として、Webメディアの隅の隅の者として言葉を大事にして良い文章をもっと突き詰めていきたいと思います。