今週のお題が「人生に影響を与えた1冊」ということで迷わず遠藤周作の本を紹介します。
一番好きな作家です。
中でも、忘れられないのがこの本です。
明治初期の長崎が舞台の話です。キリシタンの少年清吉と少女キクが出会い、親しくなりかけたところでキリシタン弾圧に遭い、強制連行されてしまいます。キクは清吉からもらったロザリオに向かって「マリア様、私はあんたが大っ嫌い」「神様なんていない。清吉を返せ」と恨んで祈ります。
ロザリオのマリア以外にぶつけようのない怒りと悲しみを吐きだすシーンは、涙が止まりませんでした。
この本があまりにも感動的で、中学時代に思わず締め切りギリギリで読書感想文のコンクールに出しました。そうしたら思いがけず最優秀賞をいただく光栄にあずかった、という意味でも思い出深いです。
でも、賞のことよりも何よりも、遠藤周作の本を通して信仰とは何かを知る機会になり、私もこんな風に丸ごと体当たりで神様と会話したいと思いました。クリスチャンはよく、お祈りをするのですが、それは神様との会話です。
願い事もあれば不満もあり、怒りもあり喜びの報告や感謝もあります。
お祈りの中でいろんな自分の姿を伝えて神様もまた、いろんな形で応答してくれます。
ちなみに、この本の中では結局マリアはキクに何も答えないし、何も状況は変わりませんでした。
ご利益信仰ではないし、思い通りにコトが運ぶための祈りでも信仰でもない。神は祈りを聴かれないこともある。でも聴かれないいのりであったとしてもやっぱり「聴いて」いる。それは時代を超えていつか別の形できちんと祈りに応える時がくる。
そんな感じのコトを学びました。
もう一度読みたくなりました。
こういう本がお父さんの本棚にいっぱいあって私の10代は遠藤周作でいっぱいでした。ほぼ全部読んだんじゃないかなぁというくらいに。
天国で会いたいと思う人の一人です。