子どもと暮らす日々のブログ

病院で働きながら子どもと生活する日々を書いています。

連携室的な話。

「連携室」というのをご存知だろうか。

私が単に無知なのかもしれないけど、医療業界に身を置くまで全く知らなかった組織で。だいたいっていうかほとんどの病院に備わっている部門で、連携室業務というとおもに転院調整だ。インとアウト(患者さんの)を司っている。ベッドコントロールとも似て非なる存在で、病院からの受け入れと病院への転院を調整している部門だ。

 

ちなみに、私が働いてるところでは私のようなMSWも連携業務をしている。ベッド数が100ちょっとと少ないし、予定が立てやすい病棟だからこの規模感であれば兼務でも何も問題がないから(だと思う)。

 

さて本題。

この間、NHKスペシャルを見ていたら、保健所が転院先を探す場面が映し出されていた。

大変そうである。

保健師「○歳 既往糖尿病のある方です。そちらの病院では、女性の患者さんの受け入れは難しいですよねぇ」

病院「(多分断っている)」

保健師「そうですよねぇ。お忙しい中ありがとうございました」ため息。

 

概ねはこんなやり取りの場面だったと思う。これを見ながら思ったのは「大変そうすぎる」ということ。

多くの保健師さんたちにとって転院相談なんて日常業務ではないと思う。もちろん、差し迫って転院相談することはあるだろうけど、ある程度疾患によって(結核とか)受け入れ先も決まっていて、決まりきった中での相談が多いのではないか?と思う。

 

なのにコロナについては同時多発的に毎日1000人以上いるのに陽性者の受け入れ先を保健センターがコンタクトポイントになって動いているケースがほとんど。

入院してない患者さんの転院相談を病院の連携室が担うのも困難ではあるし、保健センターが担うのはやむなしなのかもしれない。

病院の連携室は今も平時も忙しいのに、さらなる負荷として入院してない人たちの入院相談を病院連携室がやったら?とは思わない。できないのもわかる。ただ...保健センターだけで頑張れる話なのか?とテレビを見ていて思ってしまった。

 

というのも、これは勤務先の先生の言葉だけど、

「だいたい、コロナはあっという間にSAT下がっちゃって重篤化するのが怖い。でも80のじーさんばーさんを呼吸器乗っけますか?エクモつけますか?って話。それは重篤化する前から医師がきちんとICして今どき、高齢者がエクモつけるんじゃなくて、苦しみがないようにって治療を選択することもできるってきちんと言わないと」と。

 

要は、DNAR取れていればやるべき治療がはっきりしていて搬送先も絞れるし、受け入れ病院としてもDNARのサインもらっていることで受け取りやすくなる。こういうあたり(ICとか転院先のピックアップ)ができるのは医師だけなのではないかと思う。

それを受けて、連携部門はそれこそ家族背景とか病歴とか治療経過とか肝になりそうなことをサッと伝えてまずは相談段階で断られないように交渉していく。

 そのあたりの駆け引きって電話であったりする。病院同士だとつながりもあって、とくに「こういう患者はふつう受けない、だけど○先生の20年来の患者だからとか、友人の医師に紹介されたから」みたいな理由が正当な理由になって入院調整されることは珍しくない。

news.yahoo.co.jp

 

まあ、何にしても今は調整したくてもベッドが足りない!ベッドっていうか、人が足りない。

民間病院もコロナ病棟設けてやってるところもあるけど(うちとか)、なんせ医師も看護師も足りない。ベッドは作れても人はすぐには育たない。

保健センターも同じことだろう。まだまだこの苦しい状況が続く中でもう少しどうにか変えられないものかなと考えている。

 

人生会議だっけ?以前に話題や問題になったけど、ACPのことはこんなときでも一人ひとりが考えられることだろうと思う。