カズオ・イシグロの本を一度は読んでみたいと思っていたものの、そのことすらも忘れていた。
ある日図書館に立ち寄ったときにふと見つけて読んでみることにしたのが『夜想曲集』。
短編がいくつか集められた物語集なのだけど、どの物語も音楽と人との交わりが描かれている。
本を読んでから少し時間がたってしまってディテールは覚えてないのだけど、短編集を読むと不思議と最初の物語が一番心に残る。
たしか最初の物語は、欧州のバックバンドで活動する名もなきギタリストと高名な歌手の出会いだった。真逆とも思える2人が一時的に何かを分かち合う。そこにはお互いに理解し難い、想像しきれないお互いの世界が存在していて、唯一2人をつなげるものは音楽。
残念ながら小説に出てきた音楽はどれも馴染みがなかったから、本のおもしろさも半減してしまっていた。洋楽に明るい人ならもっと興味深く読めたのかも。
それでも、何一つ知らない私でも楽しめたのだから、小説家の才能は格別だなと思う。