恐ろしかった。
恐ろしすぎて一気に読めてしまう。
高い理念を掲げて新進気鋭の介護会社が舞台となっている。
若くてやる気に満ちた創始者。その実はどうしようもないボンボンなのだけど。そこに働く介護士は階級制のもとで働いている。
小説に出てくる介護は、「普通の介護」とは全然違う。いわゆるケアマネージャーがいて一般的にある訪問介護、通所介護、訪問リハビリ、訪問看護、訪問診療、福祉用具..。あるにはあるけど全部自費。それに訪リハや訪看は出てこなかった。
訪問診療も「往診」のような形だし、おかしな医師が出入りしている感じ。それに後見人制度をつかわずに財産管理委任契約で押し通すあたり、あくどすぎる。
形は違えど、「より良いオーダーメイドの介護」とか言いながら、身ぐるみ剥がしてしまう悪徳商売ってあるのだろうなと思う。
個人的には介護の世界よりも自由診療の医療の世界でそれに近いことがありそうだと思った。
日々、患者さんの退院支援の際にケアマネージャーを依頼したりサービスの確認・調整などもしているけど、全然知らずにこういうおかしな組織につなげてないよね?まさかね...なんて思ったり。
介護について関係ない人も、ある人もきっと読んでヒヤッとする。すごい怖い本だった。