コートの末路
今年、コートを新調した。といっても、お出かけ用のもので呼ばれもせぬパーティーにだって来ていけるかもというロロピアーナの生地のコートだ。
実に着心地がよく質感も最高。
ゆえにそんな毎日来ていない。美容院に行くとき、対外的な会議。数えるほどしか着る機会もない。子供と出かけるときには絶対に着られない。
そんな使いづらいコートを新調した。普段用には旧来のコートを着ている。この旧来のコートはすごく気に入っていて、チェスターコートなのにデザイン性もあってボタンも上の方まである。うまく説明できないけど、二重の前合わせでとにかく暖かくて気に入っていた。織りもデザインもすごく好き。
買ったのは6年以上前だったと思うし、たしかJOURNAL STANDARDで60%オフとかで買ったけど5万前後したと思う。
で、今日ももちろんそのコートを着ていたのだけど、帰ってくるなり娘が大爆笑。
何事であろうか。
「ママのコート!」と言われてえ??汚れてる?何なに?
と思っていつもどおりハンガーにかけるべく脱いだら、それはもうぽっかりと口を開くように大胆にコートの腰脇に大きな穴があいていた。
縫い目がほつれたとかそんな優しいもんじゃない。
もう糸が擦り切れて、擦り切れて、耐えられません!とでもいうかのように擦り切れてランダムなあき方で穴があいていた。
こんなに着込んだコートだから、もうそうなっても仕方ないし、本当のことをいえば一昨年はややコートの毛玉っぽいのが気になり、昨年はコートが部分的に糸の擦り切れを起こしているのが気になり、そしてこの冬だった。
致し方ない。
私も新しいコートに手を出したから、嫌になったのかも知れない。
だけどすごく好きだったコート。ここまで穴があかなければきっと私は捨てる決心もできず、毎年グズグズ着ていたことだろう。
明日からは仕方ない。
ド派手なUNIQLOのダウンジャケットを着ていくしかない。