子どもと暮らす日々のブログ

病院で働きながら子どもと生活する日々を書いています。

【読書録】蛇の言葉を話した男

とにかく分厚い。とてつもなく長い。だけど河出書房の本だしきっと面白いだろうと思って手にとった。

結果的にはすごくおもしろかった。

何がって、聖書の世界観を知っている人にはおなじみの蛇の話。それと、中世のキリスト教エストニア地方にキリスト教が伝播し始めた時代の土地の様子というのが多少は大げさかもしれないけれど「そういう感じだったのかも」と思わせてくれる感じで描かれていた。

キリストそのものの教えよりも、キリスト教として宗教としての規範とか権威とかそういったものを振りかざす様子というのは現代も含めてあると思うし、そうすればするほど本来の教えから遠ざかっているのになということも感じた。

 

アダムとエバエデンの園を追われたとき、神様は蛇に一生地べたを這うように命じていたと記憶している。だけど、根絶やしにしなかった。神様が創造した生き物を神様は自らの手で根絶やしにすることをきっとゆるさなかったのだろうと思う。

本当はそれくらいに慈悲深い。

 

そんな神様の思いを考えながら読んでいたのだけど、主人公の男の子の人生がアイロニカルというかこんなにもつらいことが続くのかと悲しくなるような場面も多々。

一番良かったのは、幼馴染を助けて船に乗って行き着いた島でおじいちゃんと出会う下り。

太い本なのだけど随所に山場があって、中だるみせずに最後まで読みふけってしまった。

読み応えたっぷり。世界の歴史ももっと知りたいなと思った一冊。

蛇の言葉を話した男