子どもと暮らす日々のブログ

病院で働きながら子どもと生活する日々を書いています。

新型コロナってわからない。

職場が医療機関なので、あんまり軽々には何かを発信してはいけないな、と戒めるものの情報を正しく認識できず、正しい情報を的確に判断できない一市民として存在している中途半端な自分が、この中途半端さを持って好きにブログには書こうと思う。

できるだけわかる努力をしつつ、わからないことについては態度保留をしながら。

 

こんなニュースを読んだ。

 

【新型コロナ】東京都の重症者病床使用率、大阪を下回る 正確なデータを公表せず(楊井人文) - 個人 - Yahoo!ニュース
 

 「実態が即時に把握できなかったから、色々含めて大きめの数字をあげました。

正しい数字が出たから公表しました」

ということらしい。

で、この数字についてこうしたコメントがあった。

 

この反応がおかしいとか違うんじゃないの?ということではない。

数字で見るとそういう風にしか思えないし、私も病院で働いてなければ似たような感想を持ったかもしれない。

 

でも、実際はどうなのだろう??とちょっと考えてしまった。

他の病院のことは知らない。それに私は医師でも看護師でもないから本当のところは全然わからない。

だけど、把握している限りでの、自分の勤務先で考えてみると...

 

新型コロナに備えて発熱外来を実施しているけど、正直医療資材が圧倒的に足りていない。ゴーグルも防護服も逼迫している。N95のマスクは1日1枚と御達しがある。

 

一応何かあったときのために病床も確保しているけど、例えば1フロア40床あるとしても、実際には4人部屋を1人用にしたり、1人新型コロナを受け入れたらその病棟は全て当該疾患の患者さんのみの病棟にすることになるだろう。

また、そこに配属される医師/看護師は感染症スペシャリストとは限らないにも関わらず、患者さんのケアに当たらねばならないだろう。

 

こんな事態だから「身を斬る覚悟」みたいなものを医療者は求められるのだろうし、実際そうした心意気で働いてくださってる先生方も多くいることは身近に感じている。

 

でももしも本当にその対応を迫られたとしたら...他に入院している患者さんをどう守れるのか、職員をどう守れるのか...心意気だけではどうにもならない現実もまたある気がする。

実際にところ「医療崩壊はなかったじゃないか!」と言われるのはこの記事の数字を見る限りで本当にその通りだなと思う一方で、うちのような感染症病棟もない病院に患者さんが押し寄せる事態となったら、それはもう医療崩壊といってもおかしくない事態が起きるのではないか?と思う。

 

さっきも言ったように医療資材が圧倒的に足りてない。

そして感染症病棟がないということは、日々それに対する修練をしていないスタッフが携わることになる。

その方々が感染して媒介者になってしまうことだってありうる。

 

現状では医療崩壊は多少防げているかもしれない、ということは多少なりとも安堵できる。

中等度症状が悪化しているにも関わらず、自宅待機をさせられて亡くなった方がいたり、PCR検査を受けられないといった問題はまた別に存在しているから、それはそれで大問題だと思う。病院に行ってもPCRを受けられない人が多くいたのではないかと思うけど、「医師の判断で」できると言われつつも、4月頃は「医師の判断で保健所に相談して」それで保健所からの指示でPCR検査をする/しないが決まっていたと思う。地域差はあると思うけど。

入院についてもそうしたコントロールがあっての話だから、この公表数がすなわち新型コロナウイルスの実態であったと言い切れるかはよくわからない。

 

ちなみに新型コロナみたいな病気が流行ったから「感染症病棟を増やせ」とは思わない。

超高齢社会が加速して医療費が莫大にかかっていて保険制度が疲弊している状況の中で、ベッドの減少を進めてきたのがこの何十年の政策(20-30年はそうした方向で進んでいると思う)。

ただ、平時から現場はどこも常にギリギリの人数で回している。それは大学病院も市井の病院もそうだと思う。

せめてもう少しだけ人員にゆとりが持てれば、例えば何ヶ月か感染症病棟含め機能の異なる病院への研修に行くとかできるのにな。

 

それで思い出したけど、最近は「従業員シェア」というのがあるらしい。

人出が少ない企業に、他の企業の社員がヘルプに行くみたいなシステムらしい。

今の病院に所属しつつ、児相とか児童養護施設とか積極的に行きたいと思うから、福祉でも医療でもそういう取り組みがあるといいなと思う。

所属は別の組織(戻る場所)があると思うと、学んだことを所属する職場で生かしてということもできるし、自分の所属組織を相対的に見る目、客観的に見る目も養われそう。

 

普段からそういうことをしていると、今回のような「いざ」という時に基本的なあれこれをわかってリーダーシップを取れる人がいることにも繋がるからいい気がするけども。

 

病院でいうと、自分だったら、小児病棟や緩和ケアなども経験してみたい。

きっと数ヶ月程度なら何にもならないけど、座学で学ぶよりはもう少し知見が深まりそうな気がする。

 

話がだいぶ飛んでしまったけど、今の医療機関は本当に人が少ないしギリギリの中で迫られた対応としてはもしこれでベッドも埋まるようなことがあったら医療崩壊じゃ済まされないというか、本当に欧米のような光景もあり得たのではないかと思ってしまった。

なので、自粛意味なし!とは思えなくて、「自粛」というムードかモードか命令か、何かのおかげでなんとか保てたと言えるのかな〜って思った。

個人的に、完全に感染症とかど素人で別に医療機関についても知ってることなんてほぼないので一市民の浅い思考の話ではあるのだけどね。