子どもと暮らす日々のブログ

病院で働きながら子どもと生活する日々を書いています。

「六月の雪」

年末にかけて読んでいた本に『六月の雪』というのがある。

乃南アサの小説で、とにかく表紙がとてもすてきで手にとった。

六月の雪

 

7日間とは思えない濃厚な旅の日々を中心に物語が展開されていく。

 

うまく言葉にできないけど、台湾に行ってみたい、歴史をもう一度勉強したい。そう思わせてくれる小説だった。台湾と中国の関係も、蒋介石のことも、歴史で学んだこと以上のことを私は知らない。

その昔、日本が植民地をしていたときに高山族を虐殺した事件があることなどは習ったことがあったし、植民地支配自体、全然肯定できる過去ではないと思っていて、それは大きくは変わらないけど、植民地支配された側の本音ってどういうものなのか、そのことは考えさせられた。

 

すごく嫌な思いをした人もいただろうし、その後の中国の侵略(と言って良いと思う)の残虐さに心も命も奪われた歴史を前に、日本は良いと思う人もいるだろうし、植民地時代からそこそこうまくやっていったのよという人も、色々いるだろう。

 

日本人のわたしも、台湾に住む台湾人も、どこの国の人でも、それぞれに学んできた歴史や生まれ育ってきた環境や文化や生活がある。

そうしたものを一旦、取っ払って付き合えるのって若い頃(30代くらいまでかな)なのかなと思ったりもした。

歳を取るとどんどんん「常識」が凝り固まってくる。イデオロギー的にも。

 

本を読むことは「その先の向こう」みたいなところに行けるのが本当にいいなと思った。

歴史を(しかも80年ほど前の時代を描いた)テーマにした小説はきっと作家にとってもチャレンジなのではないかと思いつつも、乃南アサさんの筆致は当たり前だけどそんな迷いもためらいも感じさせず、ただただ心に響くものがあった。

普段は乃南さんのミステリー系小説しか読んでなかったから、同じ小説家の違う側面を垣間見たような気がして、それもまたいい発見だった。

 

今は年始から吉本ばななを読んでいる。

実は中学、高校以来くらいだ。散々あの頃読んだけど、最近は全然読んでなかった。だけどばななさん読みたいとふと思った。

 

本をたくさん読んでぬくぬくと冬を乗り切りたい。