子どもと暮らす日々のブログ

病院で働きながら子どもと生活する日々を書いています。

【読書録】『彼女について』

乃南アサさんの小説の感想を書いた際に、「ばななさんが読みたい」と書き残した。

久しぶりに手にとったばななさんの本がこれ。

彼女について (文春文庫)

これまた、表紙の絵が気になって手にした。

彼女が主人公なのだけど、彼女の生い立ちにまつわる「なにか」が読み進めないと出てこない。説明しすぎないのに「わからない」というフラストレーションを起こさせない文学のマジック。さすがすぎる。吉本ばななさんの珠玉の文体。

読みながら、懐かしくて「そうそうこれこれ。こういう気持ちにさせてくれる」って思う。きっと、ばななさんを読んだ人は誰しも感じる「あの感じ」ってのがあると思う。

 

毎回、けっこう壮絶な経験をしていたり、状況下にいる人が主人公になっていたりするけど、今回も期待を裏切らずに劇的だった。

 

最後の最後は、物悲しくて。

でも、色々と考えさせれた。コロナが流行り始めて1年。亡くなる人は一人で死んでいく。見送る家族も、友人も恋人も、会えないで骨になってからのご対面だと聴く。

一人でいかないで。

遺された人の中にはそんな思いで見送った人もいるだろう。

 

この本を読んで少しだけ、その気持ちが報われるというかこういうことがあると少し違うかなぁと思ったり。

この本を読んで、心を入れ替えた。

何をどう?っていうかは、心構えというか。そのことは、また次に。