cakesで連載していた「幡野広志の、なんで僕に聞くんだろう」が5月末で終了するという。
今回は公開まもなく記事が非公開にされて編集部からは何のアクションもなく、ようやく最近になって(5月7日)お詫びの記事を編集部として公開した。
前回も、記事を取り下げて謝罪。その時は幡野さん自身が信田さんというカウンセラーに取材し、DVの実態や現実を学び、それが記事になった。そして連載は継続された。
今回は、公開直後に取り下げられて、「連載は5月末で終了」だという。
私も公開当初は記事内容に違和感もあって、え?って思った。
だけどこんなやり方で終わらせるってすごく残念。
前回取り下げられた記事も、今回の記事も、「いかにも幡野さんらしくもあり、率直に言ってきついな」と個人的には思った。「こうでしょ」っていう決めつけみたいなものがあるから。
でもそれって別に幡野さんの良いところでもあり、特徴でもありこういうコミュニケーションを取る人なのだと受け止めていた。
その良さをどう生かすか。
それこそが編集者の腕の見せ所。
生きた魚をそのまま丸呑みしたって美味しくない。
骨を抜いたり、切り分けて盛り付けて(場合によっては調理して)初めて素材が生きる。編集ってそういう「旨味」でしょう。
と、元編集者としては思う。
彼の言葉を、スタンスを、価値観を変えることが編集者のやるべきことじゃない。
だけど、表現一つで言葉一つでものすごく残酷になる。その残酷さがやっぱりセンシティブな問題であるほどに人が敏感になる。
相談センターを載せろなんて微塵も思わない。
個人的には、14歳という多感な時期に友達を時として過剰に心配したり寄り添う友達の(投稿者)思いを汲み取って「友達のことを大事に思うこと」をもう少し受け止めて上げてくれたらな...みたいなことを一読して思った。
友達に向かう思いって、特に女子はすごく強くてそのバランスを欠いた感じもあるのだろうけど、「自分の幸せを第一に考えろ」と言われることには、今の私には頭では半分わかるものの、でもさ、友達のことをすごく大切に思ってる、この子の思いもあるんじゃない?って思ってしまった。
でも、この連載が終わることは、つまりcakesというメディアが幡野さんの器を受け止めきれない(力量がない)ってことなんだなと思ったし、前々から読み続けているだけに残念。
でも幡野さんの言葉はcakesじゃなくても十分にまだ発信されると信じたいし、時にヒリっとするコメントもまた私は好きだ。
何かを貫くような、真実を言い当てる話。それでいて、優しさもふんわりとある。
洗いたてのタオルの残り香、くらいにさりげなく。
幡野さんのほとばしる文章も写真も、これからも触れていたい。