とても当たり前のことだけど、人生はいくつもいくつも選択をしながらその都度、何かを選んで何かを選ばずに歩んでいる。だから、もう一つの選ばなかった方の道もあったかな、なんて思うことがある。ifの世界だけど。
この春、友人が念願の海外移住を果たす。
この10年の彼女の歩みを見れば、それがどんなに過酷だったか。病気になってしまったり、親が亡くなってしまったり。子どももまだ娘と同学年で幼いけど、彼女もまだ20代。
本当にギュウギュウと生きてきたと思う。よくぞ、子どもを守って自分を守ってここまで来たな、というすごいパワーを感じるのに会うとそんな強さが微塵もなくて。
多分、強さを全面に生きている人じゃないからこその、しなやかな強さがあるのかも。私のように肩肘張ってしまいやすい人間からすると、本当になんていうのかな、見惚れる感じだ。
あんなふうになれないけど、憧れる。
海外移住はずっと、子どもがいなかったらもっと早く叶えていたものかもしれないけど、ようやく出国。
もう後ろに戻ることはないし、前にはたくさんの扉が開かれているよね。すごくそんな気がしている。
彼女が選んだ国も、道も、全部きっと守られていく。
こんなタイミングで戦争が始まってしまって、やや危険な匂いがなくもないけれど。
どうしても、ってときは帰ってくればいいし、世界どこでも彼女をサポートするネットワークがある。だからきっとだいじょうぶ。
世界は、もっと自由でもっと平和でもっと愛に溢れたものであるはずなのに。
この戦争のせいで、命や生活が脅かされている。そのことに深い憤りを感じる。だけど、脅かす力よりも、愛のほうが、平和のほうがもっと強いものであると信じたい。
彼女とお子さんの旅立ちに際して、そんなことを思った。