子どもと暮らす日々のブログ

病院で働きながら子どもと生活する日々を書いています。

仕事の話

f:id:like_little_children:20220324223647p:plain

まもなく異動する。それに伴って、担当している患者さんにご挨拶をする日々だ。

今までも幾度となく職場を去ったり動いたりしてきたけど、そのどれとも違う心境で今回過ごしている。

なんというか、「いつもどおり」だ。

私がこの場から去るからと言って、目の前の人の今日も明日も大きく変わることはない。それぞれの日常が過ぎていく。

私もまた、大きな時のうねりの中に身を任せて過ごしていくに過ぎない。だから、なるべく毎度毎度、患者さんと会うときには新鮮な気持ちで、元気な気持ちで接していた。患者さんが落ち込む日も、怒りでいっぱいの日も、その気持全体をなるべく受け止めていきたいなぁと思って接してきた(つもり)。

怒りの感情にはこちらも恐怖を感じたり、つい近寄りがたく感じることもあったけど、それでも対応していくしかない。

最後に、私の担当している人で一人だけ自宅退院できず行き先もまだ決まっていない人がいた。その人はまだ若く(といっても中年だけど)、脳の病気で救急車で運ばれてきた。その後にうちの病院に転院してきたときは、意識もまばらで声をかけても目を開けないことのほうが多かった。

 

それがここ1-2ヶ月でめざましく回復をして、先日も花見の話し、コナンの話で盛り上がっていた。

あるけるようになりたいな、どうして足が動かないんだろう、どうしてこんなに体が痛いんだろう。

辛くて泣いてしまうことも多く、掛ける言葉も見つからない。そういうことも多くあったけど、好きな音楽や好きなアニメ、季節のこと...。

彼の抱えている問題と同じかそれ以上にたくさんの彼の楽しみもまたあるはず。

全部それができなくても、好きなことを考えて面白いなとかそうそう、楽しいんだよねっていう気持ちを持ってくれたら良いな〜なんて思っていた。

 

ずっとこの先も関わっていきたかったけど、それは叶わず。

 

挨拶に行ったら患者さんは泣いてしまって、私まで泣きそうだった。

「寄り添ってくれてありがとう」と別の患者さんの家族から言っていただいたけど、寄り添えていたかどうかはともかく、思いを寄せて日々接していたのは確か。

なるべくバウンダリーは保ちつつ。この人の抱える苦悩もこれまでの誇らしい人生も、全部大事にしたいし苦悩があったとしてもそれを一人で抱えずに前を向けるように...と思ってきた。

 

そうできていたかは自信もないし、必ず100%できてたかと言われれば、そうじゃないときだってあったはず。

 

この先はまた求められる能力も違うかもしれないけど、病院でソーシャルワーカーに出会う人たちって決して気楽ではない状況で出会ってると思う。

その人たちが「大変だったけど、助けてもらってなんとか切り抜けられたよ」っていつか思って振り返られるように、そっとサポートできる人でいたいなと思う。