大学受験で、もたついていた頃に出会った恩師に言われたことが今も深く刻まれている。
「インプット10、アウトプット3」。
人から学ぶときに入ってくるものが10あったとしても、人に伝えるときには3くらいになってしまうという話だった。
先生は「教える」ということの文脈で話していた気がするけど、私はその後、仕事で学んだことを実場面で活かす時とか、子どもに伝える時とか、勉強とかいろんなことにその話を応用させている。
仕事でいえば、介護保険にしろ労災にしろ、生活保護にしろ障害福祉にしろ、さまざまな社会制度についての事柄と目の前の患者さんのニーズを考えて制度を案内してきたけれど、やっぱり知識としてわかることと目の前の人に必要なこととのズレというかどうしたら伝わるのかということの、もがきがいつもある。
最近は介護保険については一定の理解と伝達ができるようになっていると思うけども、そのほかの社会制度は「制度を知っている」という知識と実場面での「そういうAさんのニーズに対してはBという法律もあるからCという答えが出せるかも」みたいなことがなかなかまだできないでいる。
ふと不安になったり、わからない場合は一旦「確認してまたお伝えします」と言って猛烈に調べたり問い合わせたりして、なんとか支援が滞らないようにとはしているけど、まだまだ汗をかく日々。
アウトプットを10で行うためにはインプットも30とか必要で、勉強もすごく似ていると思う。数式を理解することとその数式を使って滑らかに計算できることは大きな隔たりがある。
だけど、何十回、何百回とこなしていけば滑らかに計算ができる。漢字も、言葉も、計算も、世の中の仕組みもみんなそう。
知ることと、できること・わかることの間をどれくらい埋めていけるか。知識を得ることの先にアウトプットも考えていかねばならないなと思う。