【読書録】光源
久しぶりに桐野夏生の本を手にした。
すごい好きな作家で今回も楽しみにしていた。
結論から言うと、今までとはまた少しテイストが違うなぁという感想。
ただ、それは「面白くない」などという話ではなくて、私の知らない世界を次々と開いていく感じ。例えば、映像カメラマンの考えること。映画プロデューサーの苦悩、俳優の孤独感...。
普段はテレビ越しとかメディアのフィルターを通してしか知り得ない世界を小説を通して個人的に見聞きしたような気分。
映像メディアの世界に生きてる人たちが、皆性的に奔放なのかどうかは知らないけど、最近はそうしたニュースも目にする機会があるし、目立たない市井の人たちに比べれば性的に開放的なのかもなぁ、なんてこともふと思ったり。
登場人物のそれぞれが大事なものは何か、命をかけているものは何かを探りながら、見つけながら、体当たりで生きている感じ。
それがとても印象的だった。
果たして自分は。
私自身はそんなギリギリのヒリヒリとした中では生きてないけども、大事なものを守りながら、大切に思いながら生きている。
小説のようにカッコ良くはまとまらないし、ドラマチックな展開もないけれど。
久しぶりに読んだことで、桐野夏生さんの奥深さもまた味わって、小説は定期的に読みたいなと思った。