この本は面白かった。
図書館で借りたけど我が家の蔵書としても持っていたいくらい良い本だった。
こんな私でも一応、日本史大好きで、大学受験は日本史で受けた。特に近現代はどハマりした。私の第一志望の大学の経済学部は近現代史からしか問題が出ないことで有名で、マニアックな経済理論とか経済史とかも問題になっていた。あの頃は難しすぎだったけど、それなりに解けるくらいには勉強した時期もあったから、なんとなく今でも名前は覚えていたり懐かしかったり。
財部彪とか、その入試の過去問で知ったなぁ。
なんてことも思い出しながら(この本には財部氏は登場しないけど)、懐かしの日本史をおさらいする気持ちで読んでいた。
幾つも膝をうつ話があったのだけど、日本には哲学がないというのも、政治家にインテリの匂いがしないというのも本当にその通りだなと思う。
あと、何よりも著者の岸田氏のいう「人類は物語を必要とする」というのもとても腑に落ちた。
私は天照大神のことは知らないし、詳しくもないし、信じてもいない。
だけど、私や私の家族の中にある物語は私を支えているというか少なくともこの文脈の中に私がいるんだという認識で生きていたなぁなんて思う。だから何?って部分も当然あって、アイデンティティなんてものでもないのだけども。
日本に限らず、どの国においても物語があって、それを信じているんだろうな。歴史を国家が教えることの限界は、事実よりも物語を語り継ぎたいという思惑があるからなのかも。そういう点において、日本も中国も韓国も似たり寄ったり。
エリアが近いから話も似ていたり、同じ史実が全く違う解釈で語り継がれていたり。それがまた喧嘩のもとだったり。
私みたいな大雑把な人間にとっては「隠すべきことでもないのに」程度のものでも、例えば日本の天皇のルーツは朝鮮半島にあるってことはある日本人にとっては「不都合な真実」なのだろう。
そういうふうに人は都合の良いことを事実にしたくて、できないから物語に語らせるのかもしれない。
そんなことを考えながら読んでいて、すごく勉強になった。