子どもと暮らす日々のブログ

病院で働きながら子どもと生活する日々を書いています。

適材適所

カルテで患者さんの情報を眺めていると、独身でアパートに住んでいる高齢者、夫婦二人暮らしの中高年、成人した子どもたちと家族4人で生活している人たちなど様々な世帯に出会う。

どんな家に、どんなふうに生活して何をしながら過ごしてきたのだろうか、などなど想像が広がる。

想像は想像でしかないから、実際に会って話して納得したり気づくことも多いけど、まだ見ぬ患者さんや家族のことをあれこれと考えながら、聞くべきことを整理したり、確認したいことをチェックする。

私にとっては面談で会う時間と同じくらい最初に患者さんの情報を得るその時間が大事だし、結構好きな時間だなと思う。

 

情報で推測することは実際に確認して「やっぱりそうか」と思うことも多い。

情報だけである程度頭の中で組み立てながら患者さんと向き合う。

 

70代で特別養護老人ホームに入った人は、何か病気があって早い段階で要介護状態になったのだろうか、とか検討しやすい情報もあるし、90代で介護保険つかわず自立している人は、お仕事を長くやっていたりかかりつけもない人もいたりする。

年齢や住まいや環境を通して想像することってこの仕事でとても大事だなと思う。

思い込みや先入観は絶対に避けなければいけないけど、患者さんや家族の暮らしに思いを馳せることは、退院した後、戻っていく場所に思いを馳せることでもある。

意外と病院で働く人はその人の生活してきた歴史と、今後あゆむ道に想像をはせずに「今」しか見ない人も多いなと思う。

病院という空間では当たり前に車椅子だったり、オムツをさせられたり。

だけど家だと一人暮らしだしトイレで排泄しなくちゃという人や、階段があるから車椅子では移動できない人など元々の生活で必要な能力がある。

 

患者さんの情報で最初に確認するのが疾患、氏名、住所、緊急連絡先なのだけどこの中には本当にいろんな情報が詰まっているなぁと思う。

 

財務表を見て会社のあれこれを想像したり想定する人もいるのだろうけど、残念ながら私にはその能力がない。

だけど、簡素な情報でいっぱい思いを馳せたり必要な社会資源を想像することは財務表を見ることよりも簡単にできることを思うと、私が今この仕事をしているのは少なくとも財務や経理に比べれば遥かに適しているんだろうと思う。

落ち着くところに落ち着くというか。

自分の好きなこと、得意なことで生きていけるっていうのはとても幸せなことだなとふと思った。