タイトルに惹かれて読んだ本。相変わらずサイコパスにハマっている。
最初は設定がうまくつかめず、戸惑いながら読み進めた。どうも設定は現代ではないらしく、近未来といった感じ。
過剰なまでの社会主義というか社会統制主義で、サイコパスを炙り出す装置を使って、サイコパスと認定された人たちは監視されている社会。
そういえば「1984年」(ジョージ・オーウェル)にもちょっと通じる感じもなくはない。
この本ですごく考えさせられたのはAIが発展して、人の心理や心の情動までも感知して、行動予測ができたとして、結局そこをすり抜ける人はきっといるだろうし、人って「人と人」で関わっていくもので、立場とか身分とか地位とかいったものは後付けというか、誰かと過ごした時の空気感とか匂いとか流れていた時間がどんなものだったかというのは、どんな情報よりも人に深く刻まれるんだろうなってことだった。
小説に登場するのは、とある刑事と女子高生。
そして高校教師。
誰が何を企んで、どんなふうに話が展開するのか前半ではわからなかったけど、読み進めていくうちに背筋がひやっとするような展開になっていく。
サイコパスの人って人の肉体を「物体」と捉えているんだろうな。
その人の生活とか人生とか人間関係とかそんなものがノイズでしかないというか。
普段、私の仕事でやっているようなことと真逆の発想というか立場というか価値観。
なのだけども、誰しもがもしかしたらサイコパスの芽のようなものを持っているのかもしれない。
色々考えると怖くなる。
しかも結末はかなり救いのないもの。
続くような、続かないような終わり方だったのが少し消化不良だけど、それでも十分に読み応えがあった。